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住所
ちぢれた毛が耳まで
すっぱだかの女の子が
水たまりに
またがって
しりをもち上げて
しゃがみこんでいた
ううん
板ぎれの家の
腰まき一つのおかみさんが
たき木のけぶるこんろから
けむたい顔で立ち上った
こんなとこに番地があるのかね
七年目の 夏の昼
鉄工所の焼あとの
ふかい草の
ここには アメリカの
ジープもやってはこない
ううん
地べたに手をついて
手の土をなめながら
りきんで
女の子は
出していたのだ ひとりで
あおいとがったしりから
糸のような虫
ううん